猫の刺繍と猫の織物道具
昨年の個展以来、御無沙汰しております。
今日は「猫」がテーマです。
これは、昨年の展覧会に出品した作品 「JARDIN」 の一部です。
JARDIN (ジャルダン)とは、フランス語で 「庭」 を意味します。
副題が -君の冒険も神様の作った庭での出来事 で、
猫がトカゲを追っかけて走っています。
ー出くわしたものに、または、目の前に提示されたものに、夢中になる。
行く先や、結果はわからない。
こういう感じ、好きなんです。
猫は今までに2匹飼いましたが、制作当時は飼っておらず、広い庭のある友人宅の猫の写真を撮りに行きました。
飼っている時に、スケッチが出来ていればよかったのですが・・
走っている猫はむずかしいです。
猫は簡単に走ってくれません。
これは、「すくい織」をしているところです。
「すくい織」は、つづれ織りと似た織り方。
櫛を使って模様を織ります。
これが、私の愛用している織物道具の櫛。
実は、猫の ノミ取り櫛 なんです。
今までに2匹、猫を飼いましたが、
私が20代のころは、今のように、良いお薬がなかったので、
夏には、毎日、ノミを櫛で捕っていました。
傍に、水を張った洗面器を用意し、櫛にひっかかったノミを、櫛ごと水に入れて溺死させるのです。
すくい織を始めたころ、縦糸の密度に合った、細かい櫛を探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。
つづれ織りの職人さんは、爪をぎざぎざにして、櫛の代わりにされてますね。
髪の毛用の櫛も、あまり細かくはありません。
最初の1,2年間はプラスチックのヘアー用のを使ってましたが、縦糸の間隔とうまく合輪ず、不便でした。
猫のノミとり櫛を思いついた時は、小躍りしました。
当時、100均ショップにも売っていましたから。(今はありません)
織物工芸も廃れてきていますし、織物道具も専門のところでしか手に入りませんし、高価です。
こんな便利で安価な代用品、ありがたいです。
今は、猫を飼っていませんが、人生の最後に、もう一度猫を飼おうかな、と思う、この頃です。